動物看護師のしっぽです!
猫と暮らしてみたいけど、初めてで不安…。実家で犬を飼っていたけど、一人暮らしを始めたので猫を飼いたい!そんな、猫と暮らすことを夢見るすべての人に向けて、猫を飼う上で考えておきたいこと・知っておきたいことをまとめました!この記事を読めば、猫を迎える準備はバッチリです!
もくじ
猫を迎える前に考えておくべきこと
<猫ってどんな動物?>
シンプルに言えば、猫は小さな肉食動物です。懐かないイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、その子の性格・育った環境によりますがめちゃめちゃ懐きます。ただし、野良猫を成猫になってから保護した場合は時間がかかるかもしれません。暑さよりも寒さが苦手な子が多いので、冷房が効いている部屋では夏でも日向ぼっこをしたり、冬はこたつの中に潜り込んで出てこないこともよくあります。進化前は砂漠の動物だったようで、お水をあまり飲みません。それゆえにかかってしまう病気もあるので、お水をたくさん飲んでもらえるように工夫してあげましょう。
人に従えてきた動物ではないので、しつけという概念はありませんが、コミュニケーションの中で犬のように芸を覚えてくれる子もいます。トイレは基本的に臭いなどで誘導してあげれば、教えなくてもトイレで排泄をして砂で隠します(本当に助かってます…)。お手入れの中では爪切りと、特に長毛種はブラッシングが必須になるのですが、嫌がる子が多いです。しつけとまではいきませんが、小さい時から手足を触ったりブラシに慣れる練習をしてあげてください。お手入れがスムーズにできる子・お手入れが好きな子になれば、飼い主も猫もストレスが少なく生活できます。
飼い猫は運動不足になると聞いたことがあるかもしれません。猫にとって運動は、地面を走り回るような平面運動というより、高いところに上ったりする上下の運動が主です。もちろん獲物に見立てたおもちゃを目掛けて廊下を走ることもありますが、十分に上下の運動もできるようにしてあげましょう。安全なら家具などでも十分だと思いますが、キャットタワーもひとつあればお気に入りの場所になるでしょう。運動不足解消のために、猫じゃらしで遊んであげるのもひとつです。運動不足の解消は、様々な病気に予防にもなります。
<猫が安全に暮らせる環境にあるか?>
安全な環境としてまず考えたいのは住んでいる家・部屋の条件です。
賃貸の場合はペット可の物件であることが必須ですが、一口にペット可といっても、小型犬のみ可の場合や頭数制限がある場合も多いので注意してくださいね。ペット不可の物件では、鳴き声や床に飛び降りる音などで騒音トラブルになるかもしれませんし、重度の猫アレルギーの方が住んでいるかもしれません。契約違反で退去を言い渡されるかもしれません。猫が人と共存でき、のびのびと暮らしてもらうためにも、ペット可であることは要チェックしましょう。
一軒家の場合は猫が逃走できる造りでないかを確認しましょう。賃貸でも同じことが言えますが、猫の健康と安全のためには、完全室内飼いが推奨されていますが、これは不幸な事故や野良猫などからの感染症のリスクを減らすためです。例えば、網戸は壊れていないか?玄関や勝手口の扉から飛び出してしまわないような対策は取れるか?など、猫がお家から出られないようにしてあげるのが良いでしょう。昔はお家で飼われている猫も、ひとりで外にお出かけをしてご飯に時間になったら気ままに帰ってくる…なんて当たり前だったみたいですが、上記にもあるようにケガ・病気は命にかかわります。しっかりと自分の猫を守れるようにしましょう。感染症については他の記事でも詳しく紹介しますね。
<猫を迎えるのに必要なもの・費用は?>
まずは猫を1匹迎えるための準備に必要なもの・費用を紹介します。(ペットショップなどで猫自身に価格がつけられている場合、それを除きます。)
- フード
- フード皿
- 水皿×2~
- トイレ×2~
- 猫砂(システムトイレの場合はペットシーツも)
- 爪とぎ
- 寝床になるもの
- ワクチン・ノミダニ予防・医療費
これらにかかる予算は、どんなものを選ぶかで大きく変わりますが、大体2万円前後で最低限のものは揃えられると思います。食事や消耗品の購入を考えると、月々5000円~、最後に挙げたワクチン・ノミダニ予防・医療費は年間3万円~(ケガや病気があれば+α)と考えてください。この後、詳しく説明しますね。
フード
完全栄養食(そのフードと水だけでバランスの取れた栄養が補えるフードのこと)と表示のある、安価過ぎないものをあげてください。当たり前ですが、栄養は体を作るために必要です。人の食事で例えるなら、1㎏600円のフードはインスタントのカップラーメン、1㎏1500円のフードはきちんと自炊した食事だと思ってください。自分のかわいい猫に毎日インスタントラーメンを食べさせたくないですよね。離乳を終えている猫であれば、ドライフードが与えやすくおすすめです。ウェットフードは嗜好性が高く、水分補給ができる面ではとても良いのですが、歯垢が付きやすく口臭の原因になったり、お口の健康が損なわれやすくなったりします。それぞれのメリットとデメリットを考慮して選んであげて下さい。猫は特に腎臓系と泌尿器系の病気にかかりやすいので、予防のためにお水をしっかりと飲めるようにしてあげて下さい。自動給水機のような流れる水を飲むのが好きな子もいれば、人のコップから飲むのが好きな子もいます。猫のかかりやすい病気についても、詳しくは他の記事で紹介します。
(※療法食は特定の病気の治療ために極端に栄養価が制限されているので、病気でない子に与えると健康が害される可能性があります。与えるときは獣医の指導を受けて下さい。)
フード皿・水皿
予算とご自身の生活に合わせて選んでください。猫は基本的に少量頻回採食なので、1日分の食事を少しづつ分けて食べます。お家に常に人がいるのであれば普通の皿で問題ないですが、仕事で長時間家を空けるようであれば自動給餌気が便利です。水皿はできたら2つ以上用意してあげてください。猫は元々飲水量が少なく、それがゆえに腎臓や泌尿器に負担がかかり、病気になりやすいのです。猫が良く通る場所に複数個置いてあげて、飲水を促すようにして下さい。
トイレ
トイレは、猫砂だけを入れるタイプと、猫砂を入れてすのこの下にペットシーツを敷く、いわゆるシステムトイレの2種類が主流かと思います。その中でも屋根がついているものや、家具と一体になっているもの、他には全自動トイレなど本当にいろんな種類がありますが、こちらもご自身の生活に合わせて選んでいただければ良いです。ただ、大事なことはトイレの数は猫の頭数+1つを用意するということです。これは、トイレが汚れていると猫が排泄を我慢してしまい、泌尿器の病気に繋がるためです。猫が2匹の場合はトイレが3つあることが望ましいといわれています。こちらは生活スペースとトイレを分けるため、猫が良くいる場所から少し離してあげると猫も気持ちよく過ごせるでしょう。我が家の猫も生活スペースから一番遠い玄関のトイレをよく使っています。
猫砂
燃えるゴミに出せるもの、尿で崩れるもの・固まるもの、トイレに流せるものなど様々で、粒の大きさも小さめから大きめまであります。猫の好みに合わせて試してあげて下さい。消耗品ですので、あまり高価なものを使って、それでしかオシッコをしてくれなくなった…なんてことになったら大変ですので気を付けてくださいね。
爪とぎ
爪とぎも種類が様々で、段ボール製のものは安価ですぐ交換できますがクズが出やすかったり、麻のものはクズは出づらいですが少し高めだったり…それぞれメリット・デメリットと猫の好みを考慮して用意してください。こちらも消耗品になります。爪とぎは猫を迎えてしばらくしてからでも良いのでは?と思われるかもしれませんが、猫は基本的に同じ場所で爪とぎをするので、爪とぎが無いと壁やカーペットで爪とぎをしてしまい、そのまま癖になってしまうかもしれません。爪とぎされたくない場所で癖づいてしまう前に、爪とぎを与えましょう。
寝床
猫がお家の中で一番安心できる場所を作ってあげましょう。段ボールの箱の中が一番好きな子もいれば、キャットタワーの上が好きな子、クッションが好きな子…様々ですが、部屋の真ん中ではなく端に設置してあげましょう。猫は一日の大半を寝て過ごすので、静かで落ち着くお気に入りの場所を一緒に見つけて作ってあげて下さい。
ワクチン・ノミダニ予防・その他医療費
ワクチンは基本的には生後1年までに3回(病院によるかもしれません)、その後年1回。ノミダニは年中の予防が推奨されています。ワクチンは命にかかわる病気をもらう・広げるのを防ぐ目的で打ちます。ノミダニも、刺されると痒みがあるだけでなく、ひどい皮膚炎になったり、命にかかわる感染症を媒介することもあります。予防医療に対して不安があり消極的な考えをお持ちの方も、健康と命を守るために、今一度ご自身で病気のことを知っていただき、かかりつけの病院の獣医・動物看護師と相談して決めていただけたらと思います。
医療費に関してですが、動物は人と違い公的な保険が効かないので医療費が高額になってしまいます。対策として、定期的な健康診断は、早期発見・治療することで結果的に医療費が節約でき、動物への治療の負担少ないのでおすすめです。急なケガや入院・治療に備えてペット保険への加入も良いですが、月々積み立ててペット貯金しておくだけでも安心ですよね。金銭的に余裕がなくて治療してあげられない…なんてことにならないように、猫だけに限らずペットを迎える前にしっかりと考えておいていただきたいですね。
<動物病院に行く手段はあるか?>
動物病院に行くことは、動物を飼う上でどうしても必要になってきます。上記でもお伝えしたように、最低でも年1回のワクチン接種で行くことになりますね。定期的に検診を受けさせてあげたり、体調がおかしいなと思ったときに行ける、かかりつけの動物病院を見つけておくと安心です。ただ見つけるだけではなく、そこまでたどり着く手段がないといけませんし、交通手段はあっても、あまりに遠いと移動が負担になってしまい、体調の悪化に繋がるかもしれません。いざというときに頼れる・連れていける病院があることを、猫を迎える前に確認しましょう。
おわりに
猫と犬はよく比較されますが、猫は犬を飼うのに比べて散歩の必要がなかったり、鳴き声が大きくないという点でもハードルが低く感じる方も多いと思います。実際に、日本では犬より猫の飼育頭数のほうが多くなっていますよね。私自身も、犬と猫どちらとも暮らしたことがありますが、お世話は圧倒的に猫のほうが楽です!けれど、だからと言って簡単に飼える命かというと、そうではありませんよね。寿命も、私が動物病院で働いている体感ですが、猫のほうが長生きの子が多いと思います。しっかりとした計画、覚悟を持って猫を迎えてくださいね。猫のいる生活は本当に素晴らしいものです!この記事があなたとあなたが迎える猫ちゃんの生活を少しでも豊かにできたらうれしいです!